人気のサイクルスポーツ。サイクルロードレースなどをはじめとする競技スポーツから、ゆっくり景色や食べものを楽しむサイクリングまで様々あります。そんなサイクルスポーツの魅力を、プロフェッショナルコーチの青山剛氏の視点で毎月発信していきます。



Vol.14「冬はオフロードを乗ろう!」
    ~走りづらさに超メリットが?!~


ビアンキアンバサダーの青山剛です。

昨年から始まったこのコラムでは、サイクルスポーツの魅力や運動効果、そしてその正しい方法などをプロフェッショナルコーチの視点で紹介しています。前回はサイクリストも冬はランニングをしましょう的な内容でしたが、結構な反響がありました。


■ロードを乗るのはまだ寒い!

さて、まだまだ寒い2月。普通に道路をロードバイクやクロスバイクで走るにはかなり寒い季節です。私はトライアスロン選手時代、来るべき春以降のレースシーズンに向けて寒かろうが雪がちらつこうが、この時期でも毎日ガンガンとロードバイクで乗り込んでいました。しかしそれには「明確な目標」があったからこそ寒い中でも乗ることが出来たのです。

このコラムをご覧の皆さんのようにファンライドがメインであったり、トライアスロンのために乗っている一般の方は、プロでも選手メインでもないのでこの時期にロードバイクを乗るにはやっぱり躊躇するはずです。もちろんシューズカバーなど冬装備をして乗るのもいいのですが、先日のコラムのようにランニングをしたり他の運動で代用するのも長続きのひとつだと思います。そこで今回私からもうひとつの提案は「冬はオフロードを乗ろう!」です。


■なぜオフロード!?

まずオフロードとは、舗装された道路以外の未舗装路のことで、土、砂利、芝生、林道、山道、土手、砂浜、などとにかく舗装路じゃない道のことです。そしてなぜ冬にオフロードで乗ることを進めるかというと、ズバリ「スピードが遅くなるから」です。自転車はスピードが出ればそれだけ空気抵抗も増え風もたくさん受けます。そのためスピードが出るロードバイクで舗装路を走ると、とにかく冬は寒くて冷えてしまいやすいのです。

しかしオフロードは路面抵抗が増えたり、凸凹道だったりして「走りづらい」ので、スピードが上がりづらく、舗装路をロードバイクで走るよりも冷えません。

この「走りづらい」が実はトレーニングとしてもポイントで、オフロードで自転車を乗ることのメリットは非常に多いのです。そのメリットとは、

・スピードが出づらいので冬はロードバイクで舗装路を走るより寒くなりづらい。
・滑ったり凸凹としているので、自転車を乗る際のバランス感覚やペダリング技術が向上する。特にハ  ンドルをしっかり引いて乗る感覚が格段と向上する。
・ロードバイクはスピードを上げたり坂道を頑張らないと負荷がかからないけど、オフロードは走るだけで結構な負荷がかかり続ける。
・自然を身近に感じられて、とても気分転換になる。
・(負荷がかかるので)舗装路よりも短時間で良いトレーニング効果が得られる。

などが挙げられます。

プロの自転車選手も冬の時期はシクロクロスと言って不整地の未舗装路でのレースをトレーニングとしてもたくさん走っていますが、それはロードバイクのテクニック向上やロードバイクでは得られない刺激(トレーニング効果)を求めているからなのです。ランニングでいうクロスカントリーランやトレイルランと効果は似ていますね。私的にはロードバイクやトライアスロンで将来五輪を目指すような若手選手にも、どんどんオフロードバイクに乗って技術の向上をして欲しく思っています。特に女子選手はハンドルをあまり引けていないので。


■身近なオフロードはどこ?!

といっても、オフロードバイクを持っていない方も多いと思います。オフロードバイクとはマウンテンバイクやグラベルバイクのことで、タイヤが太くてゴツゴツしていたりサスペンションが付いていたりしてオフロードで乗りやすい使用になっています。私がアドバイザーを務めビアンキが全面協力している千葉県の中央部にある「リソルの森」では、ビアンキのマウンテンバイクやグラベルバイク、そして国内ではここでしかない電動アシストのマウンテンバイクを借りて専用コース(グラベルリンク)を乗ることが出来ますので、ぜひ一度ご体験ください。

*詳しくはこちら!


既にオフロードバイクを持っている方でも、山や専用コースに行くには時間も取られますよね。そんな皆さんにお勧めなのは「河川敷」です。私は自宅近くの江戸川河川敷をマウンテンバイクで冬の時期はよく乗っています。土道、芝生、砂利、時にはぬかるんだ場所、そして土手を登ったり下りたりと縦横無尽に走っています。1時間も乗ればもうクタクタになる=満足しますよ(笑)。



この時期はランニングをしたりやオフロードバイクに乗って、来るべきサイクルシーズンに向けた体力づくりをしてみてください。きっとより自転車が楽に楽しくなるはずですよ!

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■青山 剛 (あおやま たけし)

元トライアスロン日本代表。その後コーチに転身しトライアスロン女子五輪代表を輩出。現在はプロフェッショナルコーチとして競技者から子ども、シニアまで幅広い層にトレーニング指導を行っている。全国で講演、セミナー、教室なども開催中。著書多数。国内唯一のビアンキブランドアンバサダーとして、正しいサイクルスポーツの普及発展にもあたっている。