人気のサイクルスポーツ。サイクルロードレースなどをはじめとする競技スポーツから、ゆっくり景色や食べものを楽しむサイクリングまで様々あります。そんなサイクルスポーツの魅力を、プロフェッショナルコーチの青山剛氏の視点で毎月発信していきます。
Vol.9「サイクリストはカラダが硬い?!」
~ストレッチで楽チンライド!前編~
ビアンキアンバサダーの青山剛です。
今年から始まったこのコラムでは、サイクルスポーツの魅力や運動効果、そしてその正しい方法などをプロフェッショナルコーチの視点で紹介しています。前回はサイクルロードレースを100倍楽しく観る方法を書きましたが、パリ五輪やブエルタエスパーニャなどを観る際に参考になりましたか?
さて、まだまだ暑い9月ですが、サイクルスポーツをするには絶好の時期である秋がやってきます。そこで今回と次回はそんな秋に気持ちよく乗れるようにサイクリストのための「ストレッチ」を幾つか紹介したいと思います。
■サイクリストはカラダが硬い?!
私は元トライアスリートで、現在は様々なスポーツ選手、スポーツ愛好者にストレッチ指導をしていますが、他のスポーツに比べ、サイクリストは特にカラダが硬い方が多いようです。その原因は競技特性からも来ています。基本のライド姿勢のシッティング(座り漕ぎ)では、上半身はハンドルを持ちサドルにお尻を固定し「動かさないように」する運動で、下半身はペダルを漕ぐのに動かすのですが、その動かす範囲はほぼ同じ軌跡を描きます。他の水泳やランニングなどに比べ「ダイナミック」にカラダを動かすことがなく、可動範囲が決まっている中での運動になり、どうしても凝り固まっていく傾向にあります。
■トップ選手はカラダが硬くない?!
では、ツールドフランスを走ったりするトップ選手もカラダが硬いのでしょうか?トップ選手のトレーニング動画を観ると、そんなことはありません。しっかりと柔軟性、関節可動域が確保されている選手ばかりです。なぜかというと、トップ選手は自転車に乗る以外のトレーニングやケアなどもしっかり行っているからです。ストレッチ、体幹、ウェイトトレ、マッサージなどなど「乗らない自転車トレーニング」も行っています。
こちらをご覧になっている一般愛好者の皆さんは、ただ自転車に乗っているだけになっていませんか?前述の通り、ただ乗っているだけだと運動効率も悪いですし、カラダも硬くなってきてしまいます。
■下半身はじっくり系ストレッチ、上半身は動かし系ストレッチがお勧め!
そんなサイクリストの皆さんにお勧めのストレッチを紹介します。ペダリングで動かしている脚を中心とした下半身は「じっくり系ストレッチ」、ずっと同じ姿勢で凝り固まりやすい上半身は「動かし系ストレッチ」がお勧めです。 前編の今回は、まず下半身のじっくり系ストレッチを中心に(上半身も少し)紹介します。 全部で10種類です。各10~15秒程度、ゆっくりと呼吸をしながら行いましょう。
□下半身じっくり系ストレッチ
①ふくらはぎ(左右)・壁に手をつき、片足を後ろについてかかとを離さないようにします。
②ももの裏(左右)・後ろ側の膝を伸ばし、手を前の膝について体を倒します。
③ももの前(左右)・壁に手をつき、片足を持って膝が前に出ないように足をお尻に近づけます。
④股関節(前・左右)・足を前後に大きく開き、腰を下に落としていきます。
⑤股関節(内側・左右)・足を横にひらき、手で両膝を外側に押し出します。
⑥お尻(左右)・片足をもう片方の足の膝の上に乗せ、お尻を突き出します。
□上半身じっくり系ストレッチ
⑦胸、肩 ・手を後ろで組んで肩甲骨を引き寄せます。
⑧胸、肩、腰 ・⑦の姿勢から腕を前に倒します。
⑨肩甲骨まわり(左右)・手の甲を背中について、前で肘を持って少し引きます。
⑩首回り(左右)・手で頭の横を引き、もう片方の手を内側と外側に捻ります。
全部立ったまま出来るストレッチですので、走る前、休憩中、走った後にコツコツと行ってみてください。運動効果や脂肪燃焼効率も高まり、疲労回復も促進されますよ。
次回後編は上半身を中心とした、動かし系ストレッチを紹介します!
Vol.2「移動がエクササイズに代わる乗り方とは?!~ママチャリでも美脚に!~」
■青山 剛 (あおやま たけし)
元トライアスロン日本代表。その後コーチに転身しトライアスロン女子五輪代表を輩出。
現在はプロフェッショナルコーチとして競技者から子ども、シニアまで幅広い層にトレーニング指導を行っている。全国で講演、セミナー、教室なども開催中。著書多数。
国内唯一のビアンキブランドアンバサダーとして、正しいサイクルスポーツの普及発展にもあたっている。