新型OLTREが発表され、様々な地域で展示や試乗の機会が設けられるようになってきましたね。

カタログで見るのと、実際に見て触って乗ってみるのでは大きな違いがありますので、チャンスがありましたら是非皆さんにもご覧頂きたいです。


Bianchiブースに新型OLTREがゾロリ


さて今回の本題ですが、もちろんスタッフも新型OLTREの試乗をしています。

Bianchiの新世代フラグシップで実際に走ってみた感想をお伝えします。

※筆者は元競技者でしたので、少しレーサー寄りの感想になってしまうかもしれません。ご容赦下さい。

①ベースグレード OLTRE COMP


OLTRE COMP


レーシングモデルであるOLTREの中での階層として分かりやすく表現しますと、ベースグレードに位置するCOMPですが、侮ることなかれ。

実際に乗ってみると見た目や価格から想像される期待値を超える性能を体感できます。

カタログスペックや、走る前に触ったり持ってみた時に、上のグレードと比較すると多くの方が抱く印象は以下のようなものではないでしょうか。

・少し重い(エアロバイクとしては普通だが、軽いとは言い難い)⇒加速が鈍いのではないか?

・ハンドルがエアロ形状ではない⇒高速域の伸びがイマイチ?

私も最初は正直このように思っていました。

しかし、漕ぎだしてみるとその心配は一気に払拭されました。

まず、重さに関しては重量による加速のデメリットを剛性でカバーしているように感じました。ベースグレードとはいえ、フルモデルチェンジしたOLTREプラットフォームの確かな剛性がそこにはありました。これはパワー系のライダーであればあるほど感じられる点だと思います。


上位グレードと共通のDNAはしっかりと感じられる


次にハンドルについては一体型エアロではない代わりにポジション調整がしやすくなっており、見方によってはむしろメリットになります。そして、速度の伸びに関してはハンドル以外のエアロ性能がしっかりしていることは勿論、スタンダードなカーボン素材の程良いしなやかさによって高速域の伸びを実現しています。私のようなクロノマンタイプの脚質には非常に相性が良かったです。


ステム一体型でないからこそできる事もある


②ミドルグレード OLTRE PRO


OLTRE PRO


個人的には乗っていて一番楽しかったのが、新型OLTREの中でミドルグレードにあたるこのPROです。

OLTREシリーズとして初めて1からディスクブレーキに最適化し、プラットフォームを刷新したことによって得られた特性を最も感じられるモデルだと思います。

その特性とは

・軽量

・高剛性化、剛性バランス最適化

・エアロ

軽量化と剛性の強化によって、今までのモデルとは一線を画す加速を走り出しから体感する事ができます。高速域に関しては、従来はフレームのしなやかさで速度の伸びを出していたところを、新型OLTREはエアロ性能で伸びていく印象でした。コーナリングにおいてもステアリングに荷重をかけるとオーバーステア気味に切り込んでいけます。戦闘機に求められる性能を全て兼ね備えています。


革新的な技術が各所に取り入れられている


[高剛性とエアロ]と聞いて気になるのが快適性ですよね。そこについてはBianchi最大の武器の一つであるカウンターヴェイルが良い仕事をしてくれています。このレベルの剛性を持つバイクであれば普通はある嫌な振動が不思議なくらいありません。そういう意味では少し気持ち悪さを感じてしまうかもしれません。それくらい滑らかです。


「このマシンとならどこへでも行ける」と思わせてくれるバイクに仕上がっている


繰り返しになりますが、レースにおいてもロングライドにおいても欲しい性能がすべて入っています。

「XR4の正当進化、Bianchiのディスクロードがここに完成した」という印象を受けるのがこのPROです。

③ハイグレード OLTRE RC


OLTRE RC


新型OLTREの中でもフラグシップモデルであるRCは、とにかく速く走る事、レースで勝つ事にフォーカスしたモデルです。ここまで尖ったモデルはBianchiの歴史を振り返ってもそうそうないと思います。PROと形状やベース素材は同じですが、乗り比べると両者の違いは感じ取ることができます。


基本的なフレームやハンドルの造形はPROと共通


PROと比べた時のRCの特徴は

・カウンターヴェイルを抜き、コンポーネントをグレードアップする事で軽量化を図る

・リアホイールを60mmハイトにすることでさらなる空力効果を発揮する

この二点だけだと思っていました。

しかし、実際に乗るとこの二点の特徴が相乗効果を生み出し、鋭い加速を可能にしていることがわかりました。

軽量化とリアホイールディープ化に伴って、リアホイールの剛性が高くなり、重心(本来の表現では質量中心)が低くかつ後寄りになります。これにより加速時に駆動輪にトラクションが掛けやすくなり、その駆動力を高剛性化されたホイールが効率よく地面に伝えてくれるという効果が生まれます。軽い上にトラクションを掛けやすいのですから、それはもう加速が鋭くなる訳です。漕ぎ方によっては体よりもバイクが先に前に行ってしまう感覚さえ覚えます。


蹴飛ばされたような加速と、前方に吸い込まれていくような伸びを体感できる


乗り心地については、カウンターヴェイルの有無の影響によりやはりPROに軍配が上がってしまいます。PROに比べて突き上げの角が立っている印象を受けました。しかし、タイヤのワイド化のおかげで決して耐え難いものではありません。路面からの情報量が多いとも言えますし、上に記載しましたカウンターヴェイルと引き換えに得たスピード性能を考えると、十二分に納得できる仕上がりになっています。


かつてないほどに尖った個性を放つRC


まとめ

いかがでしたでしょうか。フルモデルチェンジによって飛躍的に性能が向上した新型OLTREシリーズのインプレッションをお届けいたしました。フレーム、ハンドル、ホイールのトータル設計で自転車のパーツ全てが一つの塊であるかのような一体感、それを土台にマシンと身体との一体感、そして風を切り裂くのではなく風を纏い自らが風一部となる風との一体感、これらを全てのグレードで味わうことができます。是非試乗会などで見て、触れて、持ち上げて、聞いて、乗って、新型OLTREの隅から隅までを楽しんで頂けましたら幸いです。


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